音楽キュレーション

2025 年 4 月 4 日

クレート・ディギング(動詞):レコード店や中古店のクレート(箱)から、希少なビンテージ盤や隠れた名盤を探し求めること。

音楽好きにとって、12インチのレコードをターンテーブルにそっと置き、針を落とすと聴こえてくる心地よいノイズやパチパチとした音、アートワークを眺めながらライナーノーツを読むひと時こそが至福の瞬間と言えるでしょう。ワックスシリンダー(蝋管)からフォノグラフ(蓄音機)へ——私たちは世界中で掘り出し物の音源を求めてコレクションを増やしてきました。Synは、世界でも屈指のレコードコレクターが集まる街に拠点を構え、アナログ盤を通じて多彩な音楽に出会う絶好の環境にあります。

そこで私たちは、Synのクレート・ディガーたちにスポットを当てるべく、新たなプロジェクトを始動しました。東京、香港、ロンドン、ロサンゼルスの各都市で、チームが名盤を求める様子を収めたドキュメンタリーです。Synの音楽キュレーションチームは、世界中のラグジュアリーホテルやレストラン、オフィススペースなどにBGMを提供しています。では、無限に存在する楽曲の中から、どのようにしてその空間に最適な音楽を選曲するのでしょうか? 東京の街角でレコードをディグることから、ストリーミングプラットフォームでのデジタル・クレート・ディギングまで、世界の音を奏でるためにそれぞれの空間に最適な楽曲をペアリングするSynの取り組みをご紹介します。私たちがグローバルなチームであることの魅力の一つとして、さまざまな音楽バックグラウンドを共有できることにあります。ストリーミングやデジタル音楽が普及する以前は、地元のレコード店こそが新旧のリリースに触れられる唯一の場でした。チームそれぞれの異なる音楽バックグラウンドが、私たちの音楽に対する視野を広げているのです。

東京・下北沢にある「Flash Disk Ranch」は、Synのエグゼクティブ・ミュージック・ディレクターであるアラン・モーツリーが20年以上にわたって通い続けているレコード店。ユニークなレコードが並ぶ隠れた名店です。次に向かったのは「LIKE A FOOL RECORDS」。アランとKaz(Syn 東京の音楽プロデューサー兼kill me)が、名盤を求めクてレート・ディギングに挑みます。elkのドラマー)が、名盤を求めてクレート・ディギングに挑みます。アランは「初めて訪れたのは20年ほど前。当時の東京のレコード店は、ほとんど日本のレコードを取り扱っていませんでしたが、ここ5年ほどの間に国内外で日本のレコードが流行り始め、品揃えも充実してきました。これからも楽しみです!」と日本のレコード文化について話します

イギリス・ロンドン郊外のバーンズから6、000マイル離れた場所にある「Olympic Studio Records」は、Synのエグゼクティブ・ビジネス・ディレクター、ベンジー・コンプストンがこよなく愛する隠れ家的レコード店。この小さなレコード店はボランティアによって運営されており、かつて『レッド・ツェッペリンIII』やローリング・ストーンズの『Sticky Fingers』がレコーディングされた伝説のスタジオ「OlympicStudio」が所有しています。店内には未発掘の名盤がずらりと並び、チャーリー・ワッツのラグを含むロックンロールの歴史を感じさせるアイテムが詰まっている店内は、新旧のアルバムで溢れ、オーナーであるロジャーとスティーブのチームが愛情を込めてキュレーションしているのが伝わってきます。ロンドンの格式高き街・メイフェアにあるClaridge’sHotelをはじめ、イギリスのクライアント向けに音楽キュレーションを行うSynにとって、この地に点在する個性豊かな音楽文化はレパートリーを広げ、音楽コンセプトを発展させる最適な環境でもあります。ホスピタリティ業界のクライアント向けにBGMをキュレーションすることで、Synはさまざまな音楽ジャンルに触れる機会を得ています。ミニマルハウスやラウンジミュージック、アフロビートやエチオ・ジャズまで幅広いジャンルを取り扱うことこそが、オーダーメイドの音楽キュレーションの核となります。プレイリストを作成する際は、単なるコピペではリスナーの体験を向上させることはできません。さまざまな音楽の趣向やスタイルを理解していなければ、単なるエレベーターミュージックやバックグラウンド・ジャズとなってしまいます。「OlympicRecords」のようなレコード店に訪れて世界の音楽に耳を傾けることで、世界のホテルやレストランに届ける新たなクリエイティブ・ブリーフが生まれるのです。"

次に向かうのは、アメリカ・ロサンゼルス。Synのカントリーマネジャー、デレク・マクニールとプロダクション・アシスタントのアントニオ・デヴィッドが訪れたのは、カルバーシティの「High Fidelity」(オーナーはレイ)とサンタモニカの「RecordSurplus」(オーナーはクリス)。Maybourne Beverly Hills、The Fairmont Miramar、Eleven Madison Park、The Boca Raton Resortなどのアメリカのクライアント向けプレイリストの作成に向けて、ドロシー・アシュビーの『Afro-Harping』やデナーはクリス。哈平』やデュラン・デュランのファーストアルバムのリマスター盤といった良い音楽と出会い、インスパイアを受けました。夕日が沈む頃、デレクとアントニオは偶然にも音楽ジャーナリストのナードワー(納德瓦爾Human Serviette)と俳優のティモシー・シャラメが映畫『A Complete Unknown』のプロモーションでインタビューを行っている現場に遭遇!まさに収穫の多い一日となりました。

东京からロンドン、ロサンゼルスを経て、太平洋を渡り香港に到着。ここでは、SynのCEO兼クリエイティブディレクターであるニック・ウッドが、歴史あるシャムスイポーー(深水埗)のレコード店「Vinyl Hero」を訪れました。「VinylHero」はベトナム出身のレジェンド的レコードコレクター、ポール・アウが経営しており、香港を代表する音楽の聖地として知られています。ポール・アウは、ベトナム戦争から逃れるために1975年2月に香港へ渡り、香港ポップス黄金期の幕開けに立ち会うこととなりました。1997年の返還までイギリス植民地だった香港で、ポール・アウはウェスタン・ポップスのレコードなどを通じて西洋の文化に親しみ、ハーレーダビッドソンを愛車にするほどその影響を受けていました。頻繁に日本を訪れる彼は、東京から2,000枚以上のレコードを持ち帰ったこともあるそう。店内は床から天井まで1960年代から1980年代のレコードで埋め尽くされ、それはまさに宝庫。ニックとポールが音楽について語り合いながら無数のレコードを掘り起こしていくうちに、この小さなレコード店が雑居ビルの片隅にありながらも、香港で最も愛されるスポットの一つである理由が自然と伝わってきます。‍

レストラン、ホテルのロビー、オフィス、ジム、スパ、そして小売店など、世界3大陸にまたがるクライアントからの信頼を置くSynの音楽キュレーション。世界の音を奏でるための旅は、これからも続きます。

"从东京到洛杉矶 -听见世界synSNSで公開予定です。